育休期間の設定はどのくらいにするべきか。最大限に効果を発揮するには
男性が育休を取る時、最初にぶつかる問題で、どのくらいの期間を取るべきか?と悩むと思います。
結論から言うと、長く取ったほうが断然トクだと言えます。
なぜなら、ざっくり経済面、家庭面、仕事面の三つの違った側面から、それぞれメリットを得ることになるからです。
- 日本では休業中の補償が手厚い。
- 乳幼児期は人生の中でも限定的な時間である。
- さらには育休経験は仕事上有利になる
具体的には、6割から8割の収入補償を得て、新生児や乳幼児など希少価値のある期間の時間を家族のために捧げることが出来ます。
その結果、副産物として家事育児を含めた家庭を運営するための経験により、ビジネス上も活きるスキルも手に入れることが出来ることがわかってます。。
長く取ったほうが断然トク
積極的取得で得るものの大きさと、消極的な取得、もしくは無取得で抱えるリスクを考えると断然長く取るべきだと思います。
長く取るべき3つの理由を解説します。
制度について、超簡単に言うと世界トップクラス
一方で育休の制度に関しては、実は日本は世界でトップクラスの優遇制度を持っているのです。
ざっくり言うと、一般的に一年以上お勤めのほとんどの方は原則一年間、月給の6割から8割の補償を得ることが出来るのです。
細かい条件等は巷のサイトに多数出ているので検索しやすいと思います。
おすすめは育Menプロジェクトのページです。
問題は北欧に並ぶ素晴らしいシステムを持っていながら、ほとんどの人がそのその制度を充分に利用せずにいるのです。
ちなみにアメリカは国の育休のための経済的保証がはないので、アメリカの人から見れば日本人男性の宝の持ち腐れですね。
海外でもこの勿体無い状態が度々記事になります。
なぜアイスランドの父親は育休を取るのに日本の父親はとらないのか
今しかない!!
説明がいらないと思うのですが。
時間は元には戻りません。
自分の子供の成長を身近で感じながら家事育児をする機会はその時だけ。
子供が大きくなったらもう過去には戻れないのです。
そして子どもが小さい時期ほど、父親として家族を大事にする姿は家族全体に良い影響を残します。
そして時間が限定されているので、取るなら今しかないのです。
後で後悔してももう遅いのです。
逃せば一生戻らない非常に貴重な時期であることを、意識して期間を決めるべきだと思います。
私は絶対後悔したくないのでフルで取得する選択をしました。
育休経験は将来有利になる
ジェンダー平等が加速する世の中では、同時に「男性育休」や「男性の家庭進出」などは一定の支持を受けるトレンドとなることがわかってます。
ウィルフリッド・ローリエ大学組織行動/人的資源管理の博士号のAnja Krsticが2019に発表した論文のなかで、「コミュニティの認識が広がりつつある中、男性育休取得によるキャリア形成はより成果を上げている。」とあり、その証明を示してます。
The Effect of Taking a Paternity Leave on Men’s Career Outcomes: The Role of Communality Perceptions
将来、育休経験が長いほどキャリアに結びつくと言う考え方が増える、と言うことです。
ジェンダー平等が進行する社会では、認知する人の割合が徐々に増えるので育児経験は軽視出来ないキャリアとなるのです。
これは女性の社会進出と男性の家庭進出などで、相互のビジネススキルや育児経験が共有されていく世の中になるという未来です。
逆に言えば、男性が家事育児に時間的リソースを割かないことは、将来リスクになる可能性があると言う事でもあります。
意外に形成される副産物の話
子育てを経験すると対人的なソフトスキルの習得に繋がり、職場で活かせると多くの報告があります。
私もその一人ですが、過去に育休取得後1年以内に昇格したことがありました。
自然と周りの人間を気遣うコミュニケーションスキルが、スタッフのマネージメントに役に立った経験を得ました。
現実、実状
厚生労働省の雇用金等基本調査を見てみると、現在の日本の男性育休取得率は3%から12.65%と数年で飛躍的に伸びてはいます。
しかし、その中身を覗いてみると実に5日未満が28.33%と3割近くが1週間にも満たない取得期間です。
「取るだけ育休」と言われてますが、中にはいわゆるポーズを取ってるだけで本質的な育児への参加とは程遠いと思われます。
また、全体的に見ても男性取得者の7割以上が2週間未満の取得期間の傾向なのが、平成30年の雇用金等基本調査でわかります。(ちなみに令和になってから内訳の発表はなく、令和2年度では5日未満の割合だけ公開してます。)
つまり、その内容は明らかに短期間が大多数である実状があり、全男性が家事育児にかける総合時間が飛躍的に増えたとは言えるか疑問が残ります。
デメリット
ここまで話すと、日本の育休制度メリットばかりなので、取得しない手はないように思えます。
デメリットとしてはどうでしょうか。
男性の育児休業促進の過程で希望出生率が低下した例もあります。
研究では2007年にスペインで2週間の有給出産休暇が導入されたことで、その後の出産が遅れる結果がでました。
(参照2018 IZA DP No. 12023 Lídia Farré Libertad González Does Paternity Leave Reduce Fertility?)
これは育児経験を詰んだ男性たちが、育休期間中に子どもを持つことのコストに対する意識が高まったことや子供を持つことのコストに対する意識が高まったこと。
また別視線で、子供と一緒にいる時間が育児の質に対する投資意欲を高めたことなどが考えられる。
とありました。
しかし、社会環境にまだまだ課題があった
しかし、これはまだまだ研究課題が残ることも示唆しており、同じ意識調査では北欧男性の希望出生率は変化がないことがわかってます。
そもそも南欧と北欧では環境が大きく異なります。
2007年以前のスペインでは日本と同じようにもともと女性の家事育児の負担が大きく、女性の就業率は比較的低かった事情があります。
それに対し北欧では2007年の時点で、ほとんどの男性が育休取得をしているので、そもそもの意識の違いがあります。
推論ですが、
一方男性育休がこれからの発展途上の国では北欧のように理解が進んでないため、短期の育休や少額の補償などでかえって負担が大きくなる作用があるのではないかと思います。
つまり、中途半端な育休取得では逆にデメリットを得る可能性があると長期育休取得者の私は考えます。
それ以外のデメリットは、一時的な経済的な減少(2割から4割)と仕事復帰時のプレッシャーくらいです。
どちらも育休のメリットと比較して考えると、得るものの大きさに大抵理解すると思います。
取るだけ育休
そもそも本質的な解決に繋がらないのがこの「取るだけ育休」です。
一般的に育児の大変な時期は生まれた直後から3歳くらいまでと言われており、北欧などの福祉国家でも2〜3歳の時期までカバーできる育休制度が採用されてます。
実際子供のいる家庭に聞くと解ると思いますが、子育てに終わりはない(実際終わる運命ですが)みたいな気の長くなる感覚の話をされることでしょう。
つまり、数日から数週間ぽっちが休みは「育休」という言葉と本質的に見合わないのです。
なかには「育休は育休で取得したんだから」と反論する人もいるでしょう。
しかし、建前だけの育休は、結果自分の家族を犠牲にする事になります。なぜなら本来家族を助けるための育休であり、自分のメンツを助けるためではないからです。
まとめ
育休取得を考える時、男性の頭の中では大きく次の三つのことが頭をよぎります。
- 自身が育児をして得られる家族の幸せ
- 育休取得中の経済的な事情
- 自身の今の仕事や今後のキャリアへの影響
しかしこの限定的な機会を逃すと、次のようなデメリットが発生することをしっかり考慮する必要があるでしょう。
- 休業補償を逃す。
- 子供の限定的な時間を逃す
- 家事育児の主要な経験を逃す
誰もが今や将来の仕事に影響なく、
お金の不安も抱えずに家族の満足を得たいと考えるのです。
当然ですね。全て大事な関心事であると思います。
現状が短期間に集中している日本の状況事はさておいて、
育休期間は主役である子ども発育期間を考えることで、理想の育休期間を決めるのが一番良い考え方であると思います。
個人的には、子供の成長を考えれば本当は2、3年くらいは家族の集中した時間があった方が、確実に余裕が生まれると思います。
人は余裕のある暮らしの中で充分な愛情を育むことが出来ると思います。
その時間と愛情を家族のために出来るだけ長くたくさん注ぐことが、家族が幸せに過ごす大切なことであると私は思います。
そして日本では一歩踏み出す勇気さえあれば、それを実現出来ます。
現に私がそうしてます。
もっともっと長く育休を取り、家族にたくさん愛情を注げる世の中になればいいのになと思います。
メインは家族の幸せのためなのですから。
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